アンセル通信
直感と信頼
古川 幸子

中止になった2020年から思いを募らせていた今回のツアーも、沢山の方々のご尽力で、無事に終えることが出来ました。
昨年末に8年ぶりにデンマークに渡り、ツアー情報を集めキーパーソンを訪ねるなど、具体的な準備を始めました。帰国後直ぐに渡邉さんと
ネットで宿泊・フライトの手配、現地関係者とのメール連絡など精力的に準備を進めました。
8年という歳月の社会の変化は大きく、デンマークではかなりデジタル化が進んでいました。現金はほとんど使えず、モバイル・スマホが
なければ不自由で電車にも乗れません。経験豊富な渡邉さん、加地さん、中村さんの意見を参考にし、ホテルやバスの予約もネットで一括手配です。
その代わり分からないこともスマホで検索、街中では位置情報で道案内が出来、コペンハーゲンカードの入力やフライトのオンラインチェックイン
など、デジタル機器への対応はスムーズでした。参加者同士が助け合い、楽しみながらの体験になりました。
現地では不手際も多々ありましたが、参加メンバーの100%の信頼と理解、そして多くの協力者の惜しみない支えがあったからこそ、
最後まで糸が切れることなく進めることができました。今まではキスに頼っていたツアー計画も今回は分担制にしたことで、キスとの感情の
行き違いもありました。オレロップ界隈でお世話になったキスの甥のツゴルスの顔を見た時に思わず涙ぐんだ程、彼の助けは本当にありがたい
ものでした。経験の積み重ねの上の直感を信じ、迷わずに進められたことは本当に良かったと思います。
今回、私の親友・アンナの妹リスベットが、患っていた癌が悪化して3月に亡くなったことを知りました。彼女は2013年のランドステオネ参加
ツアーで、「からだと文化」チームと合同発表した"18羽の白鳥"をアカペラで歌ってくれた方です。更に帰国後7月12日、1998年初めてデンマーク
遠征をしたシルケボーで多くの日本人がお世話になった木下澄代さんが亡くなりました。元横浜YMCAのデンマーク体操クラブのメンバーで
、私がキスと知り合うきっかけになった方でした。二人の大切な友人を亡くし寂しいばかりですが、こうして元気で好きなことをさせていただいて
いる自分を大事にし、出来ることを一生懸命していきたいと改めて思っています。
お二人のご冥福をお祈りいたします。
再びデンマークへ ―歴史をつなぎ、新たな一歩
渡邉恭子

今回の旅は大会参加を目的とした過去のツアーとは異なり、オレロップ、ヴィボーの体操学校の見学と両校の地域の体操仲間との交流をメインに
、立ち寄る地方の観光にも時間を使ってデンマークの歴史や文化を味わうことが目的でした。
東の首都コペンハーゲンから西へ、大きくデンマークを横断しながら、シェラン島では北のクロンボー城、フュン島では南へ下り港町スベンボー
からファボー、トーシンゲ島、北へ上ってオーデンセ、ユランに渡りコリング、北上してヴィボー、更に北の突端スケーエン、そしてオルボーと、
各地で実り多い体験を重ねながら、小さな国ですが、明るい光と豊かな緑と爽やかな空気の中を進む、壮大な旅でした。
オレロップでは学校見学に加えて、大勢の学生達の前で体操を発表、万雷の拍手を浴びた上、校長先生に「真の体操の精神を見せてくれた」と
讃えて頂だきました。ヴィボーでは私たちの発表を見た学生達が、「自分達もやりたい」と集まって来て心温まる演技発表をしてくれました。
ヴィボーの原っぱでは懐かしい「からだと文化」のメンバーに再会、見上げれば白鳥の群れが渡って行く青空のもと、草の上で時間を共にしました。
アンセル結成から28年という活動の年月を重ねここに至ったことに感動と感謝でいっぱいでした。
「デンマーク体操はその形よりもシステムに特徴があると思う」と菊池先生から伺った事があります。年月を経て体操のスタイルは確かに大きく変
わりましたが、人とのコミュニケーションを大事に、トレーニングの成果を発表につなげる過程や、ツアーで様々な困難を協力して乗り越える事で、
人としての成長を遂げる経験が大切にされている。それこそが今も昔も変わらずオレロップやヴィボーで出会った若者たちと私たちが共有している事だと、
今回のツアーを通して改めて思いました。
キス始め来日した「からだと文化」チームや、エスビヤで一緒に演技をした方々、甥のツゴルス夫妻と親族の方、かつてオレロップの日本ツアーに参加
以来日本との絆を大切に体操の指導を続けてこられたボーディル・アナス夫妻、リッタとヤーン、100年に及ぶ日本との交流を未来にと願われる
オレロップ。大勢の友人に支えられて、先輩から引き継がれてきた友好の流れの中で、私達の活動もこの歴史に1ページを加える事が出来ました。
1人の故障者も無く、皆元気に帰ってくる事が出来たのはお一人一人の勲章です。ありがとうございます。
参加者の感想
- 5回目のツアーは娘と親子で参加しました。着物を持参し、甥のツゴルスさんの食事会で着ることが出来、恭子さんのお孫さん・喜枝ちゃんに
浴衣をプレゼント、とても喜んでもらえました。今回は発表が少ない分、観光を充分楽しめました。娘も「百聞は一見にしかず」と、とても感動、
デンマークの素晴らしさが伝わって、良かったです。2017年に行った時より物の値段が2倍になっていてびっくり!!ロイヤルコペンのイヤープ
レート8cmが5.000円、ジョージ・ジェンセンのネックレスが前回2万円だったものが今回4万円など。日本も物価が上がっていますが、デンマークと
比べるとまだまし、と痛切に思いました。 (一之瀬留美子)
- デンマークに行く時だけ会員になるというわがままで、今回も参加です。若い方から3番目に驚きつつ、旅につれ皆さんの元気にパワーを貰いました。
今迄とは違うデンマークに出会えて、日常を離れ、リフレッシュできました。 (砂田真弓)
- “なんちゃってアンセル会員”となり、卒業後の初デンマーク体操。まっすぐ伸ばしたつもりの手も、皆と違う。一人「イカ体操」でした。
「しおり」を頂いて学生時代の遠足のしおりを思い出してびっくり。このしおりのおかげで毎日の事・皆の名前も分かり、帰国後も思い返せて
ありがたいです。ツアーの皆さんと接して、何か新しい事,出来る事を増やしたいと思ったものの、日本の暑さにも負け、やはり日常に戻っています。
デンマークの古い薬局で手に入れた「永遠の命」という名の高麗人参入り上質の中国茶。不老長寿の保障付きと書いてある。これを飲んで長島さんの様に
元気で80歳を越えても体操できるようになろう!又行こう!と決心しました!? (勝本典子)
- 53回生古希グループ、毎日1万歩へっちゃら。びっくりパワー!やっと着いていけたかなの私でした。快食・快眠・快便、楽しい旅でした。 (松尾由恵)
- 初めてのヨーロッパの、普通のツアーではない貴重な経験でした。外の芝生で体操したりプールの授業も楽しかったし、空気感の違う文化に触れ、しばらくそれに浸っています。
卒業50年してこんな事出来ると思わなかった。これからも健康で、長ーく続けてキス先生の様になってね。 (関光代)
- 国内・海外を含め50年ぶりの旅行は、残念ながら緊張でガチガチの発表以外は、先生お二人と皆様のお陰様で楽しませて頂きました。 (木村邦子)
- アンセルの皆様が長く積み重ねてこられたデンマークの方々との交流の恩恵にあずかり、得難い経験をさせて頂きました。素晴らしい旅行でした。 (古澤言太)
- ヴィボーの交流会で、以前ホームステイさせてもらったエスタを見つけ記念写真。2000年デンマークチーム来日時、ヨナとエリザベットと日光にご一緒した時の写真を見せ、
25年前の自分達を確認。ツアー参加6回目、キス先生とのツーショットも6枚になりました。ヴィボーで再会したリッタとヤーン、帰り際「又オルボーで!」と言ったヤーンの満面
の笑顔が今回一番印象に残っていま〜す。 (長島広美)
- まず感動したのはオレロップとヴィボーの体操学校で皆さんが若い人達から万雷の拍手を浴びたのを見た事です。荷物持ち?としてデンマークに来て良かった事の一つです。5つ
の違ったホテルに泊まると言う、今までに経験したことのない旅でした。日本のビジネスホテルに慣れていた自分には、あの早朝からの朝食は忘れられません。大好きなパンやチーズの
種類の多さ!そして全種類食べ切れなかった悔しさが・・・・ (西川博久)
初めてのデンマーク*ベスト5
- クロンボー城:見た途端に ハムレットの父親の亡霊が出現した、そびえ立つ城塞を発見! 内装、家具も全てルネサンス。どこにハムレットやオフィーリアがいてもおかしくない!
- コリングフース城の左ウィング:19世紀の大火事で壁だけになった城を修復。左ウィングは崩れた壁をそのまま取り込み、レンガや石材に鉄骨の橋や階段が組み合わさってピラネージの絵のような造形。
- スケーンの砂に埋もれた教会:打ち捨てられた真っ白な教会。窓には扉もなく風もツバメも自由に出入り。天井裏まで登れて、上から素朴なレンガアーチの構造体が見えるのが新鮮。
- スケーン美術館:ノホホンと6月のデンマークを観光。ところが、この美術館の幾枚かの冬の海の絵は、如何に、ここでの生活が厳しいか余すところなく伝えてくれる。
- 6月のデンマーク端から端まで:真っ平らな国土にヒースの荒野。清潔で美しいカントリーライフに美しい鳥の鳴き声。デンマーク人の精神的裕福さ。etc. (大田創)


